一枚板テーブルが届くまで!森から食卓へのサプライチェーン

一枚板テーブルは、ただの「家具」ではありません。
それは、森で育った一本の木が、長い時間と人の手を経て生まれる“物語のある作品”です。
木を伐り出す林業の現場から、製材・乾燥・加工、そして職人による仕上げを経て、ようやく私たちの食卓に届きます。
この一連の流れには、木を無駄にせず、自然と共生しながら生きる日本人の知恵と技が息づいています。
本記事では、「森から食卓へ」という視点で、一枚板がどのように生まれ、どうやって私たちのもとに届くのか――。
そのサプライチェーンをたどりながら、“木の命を受け継ぐ家具づくり”の舞台裏を解き明かします。
1. 森での始まり:木を伐る前に大切にしていること

一枚板テーブルの旅は、森の中から始まります。
伐採される木は、単に「古い木」ではなく、森のバランスを保つために選ばれた木。
林業の専門家が、樹齢・太さ・生育環境を見極め、持続可能なサイクルの中で一本ずつ丁寧に伐ります。
この“間伐”や“択伐”と呼ばれる方法は、森の若木を健やかに育てるための自然の手入れでもあります。
伐採された木は山から運び出される前に、樹皮や含水率を確認され、どのような製品に適しているかを選別。
この段階で、すでに「どんな一枚板になるか」の方向性が見えているのです。
自然との調和を守りながら木を伐る。
ここには、“木を育て、使い、また植える”という日本の循環思想が息づいています。
2. 製材所での選別とカット:一枚板になる瞬間
伐り出された原木は、製材所へと運ばれます。
ここで丸太は一本ずつ丁寧に切り分けられ、テーブルやカウンターに適した「幅広の一枚板」として姿を現します。
製材職人は木のクセや導管の流れを見極め、板目・柾目・杢などの表情を活かす方向でカットします。
「同じ樹種でも、一本一本まったく違う顔をしている」と言われるように、木の個性を見抜く経験が求められる工程です。
切り出された板は、すぐに使われるわけではありません。
水分を多く含む生木のままでは反りや割れが起きやすいため、“乾燥”という重要なプロセスへと進みます。
3. 自然乾燥と人工乾燥:木が落ち着くまでの時間

乾燥は、一枚板の品質を左右する最も重要な工程の一つ。
まずは屋外での「自然乾燥」。風通しのよい場所でじっくりと時間をかけて水分を抜きます。
この工程だけで数ヶ月から数年かかることもあります。
自然乾燥で木の内部応力が落ち着いたら、次に「人工乾燥機」に入れ、適正な含水率(約8~12%)まで整えます。
温度や湿度を細かく管理しながら、木の中まで均一に乾かすことで、後の反りや割れを防ぐのです。
この“時間をかける”というプロセスこそ、一枚板の魅力を最大限に引き出す鍵。
急がず、焦らず、木の呼吸に寄り添う――職人の根気が試される工程です。
4. 職人の加工:形を整え、木目を活かす
乾燥が終わった板は、いよいよ加工へ。
この段階で、天板の形を整え、厚みを均一に削り出します。
一枚板は天然素材ゆえ、まっすぐな板ばかりではありません。反りやねじれを見極めながら、最も美しいラインを引き出すことが求められます。
さらに、節や割れの部分は「埋め木」や「チギリ」で補強し、自然の造形を損なわないように修復。
この作業を通して、“木の欠点を個性として活かす”のが職人の腕の見せどころです。
削り、研磨を重ね、表面がなめらかに仕上がるころには、木がまるで再び息を吹き返したような表情を見せます。
5. 仕上げの塗装と最終調整:手触りと艶の命を吹き込む

5-1. 塗装の種類と役割
塗装は、一枚板に“生命感”を与える最後の工程。
主に「オイル仕上げ」と「ウレタン塗装」の2種類があり、それぞれに魅力があります。
オイル仕上げは、木の呼吸を妨げず、自然の質感をそのまま活かせる点が特徴。
木肌に触れたときのぬくもり、光の当たり方によって変化する艶――時間とともに味わいが増していきます。
ただし、水や汚れには弱いため、定期的なメンテナンスが必要です。
一方、ウレタン塗装は耐水性・耐久性に優れ、日常使いに安心。
飲食店やオフィス用途ではこちらが選ばれることが多いです。
来宝綜合銘木工業では、木の表情や使用環境に応じて最適な塗装方法を提案しています。
塗装の選択ひとつで、木の印象は大きく変わります。
どちらを選んでも、仕上げの目的は同じ――木の魅力を最大限に引き出し、長く使える家具にすることです。
5-2. 組み立て・脚部加工
天板が完成したら、次は脚部との組み合わせ。
無垢脚・鉄脚・異素材ミックスなど、デザインによって印象が大きく変わります。
例えば、鉄脚を合わせればモダンでスタイリッシュに。
木脚を選べば、木目の温もりがより一体感を生み、空間全体に自然な調和が生まれます。
脚部の取り付けでは、見えない部分の構造がとても大切。
板の反りや収縮を考慮し、金具や溝を工夫して「呼吸できる構造」に仕上げます。
これにより、季節による木の動きを吸収し、長期間の使用でも美しい状態を保てます。
5-3. 検品・出荷・お客様のもとへ
最終工程は、職人による厳しい検品です。
反りや割れ、仕上げムラなどを一枚一枚確認し、合格したものだけが出荷されます。
その後、専用梱包でお客様のもとへ。
厚みのある板でも傷つかないよう緩衝材でしっかり守り、搬入時も専門スタッフが丁寧に対応します。
そして、リビングやダイニングに設置された瞬間――
“森から食卓へ”の長い旅がようやく終わります。
木はもう一度、人とともに新しい時間を刻み始めるのです。
6. 一枚板がつなぐ「人と自然のバトン」
一枚板テーブルのサプライチェーンは、単なる物流ではありません。
それは、自然・職人・暮らしをつなぐリレーのようなものです。
森で芽吹いた命が、人の手で受け継がれ、家庭で再び生きる。
その背景を知ることで、私たちは家具に対して新たな敬意を抱けるはずです。
木の温もりを感じるたびに思い出してほしい――
そのテーブルが、何十年、何百年も前から続く森の物語の一部であることを。
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